黄金色の輝き 11月の誕生石 トパーズについて

ジュエリー

11月は、秋を彩る紅葉のシーズンです。
赤色のモミジも可愛らしいですが、黄色のイチョウ並木も絵画のように素敵ですね。
ドラマのロケ地としても有名な明治神宮外苑のイチョウ並木、
歴史的建造物が立ち並ぶ、横浜の日本大通りや山下公園前のイチョウ並木。
黄金色に輝く街路樹は、普遍的な豊かさを感じます。
そしてその輝きは11月の誕生石 “トパーズ” の色合いを連想させ、神々しくも感じます。
今回は秋の深まりを優美に彩る黄金の輝き、11月の誕生石トパーズについてご紹介していきます。

トパーズの語源

トパーズの語源は一説によると、ギリシャ語で 「探し求める」 を意味する 「topazos (トパゾス)」 からきているといわれています。

古代ローマ時代、良質のトパーズと言われた宝石は、紅海に浮かぶセントジョーンズ島で採れたそう。
セントジョーンズ島の周辺は常に深い霧に覆われていて、船でたどりつくのが大変であったと言います。ところが、夜になると島全体が黄金色に光り輝き、たどり着くことが出来たという逸話があります。

しかし、現在では鉱物学の進化の末、そこで見つかったのは「ペリドット」だと訂正されました。
また、トパーズには水酸基(OH)を含むタイプ=インペリアルトパーズと弗素(F)を含むタイプの2タイプあるということも確定されました。

ちなみに日本名は、「黄玉石」と言います。

トパーズのカラー

11月の誕生石としてのトパーズは黄金色のトパーズを指しますが、トパーズには様々なカラーが存在します。
青、緑、黄色、橙、ピンク、紫、無色透明なものまで幅広い色があります。
天然で産出されるトパーズは、黄色、ダイヤモンドに似た無色透明な物や、薄茶色、ピンク色や淡いオレンジ色などがあります。
人気のあるブルートパーズは、無色透明なトパーズに処理加工されている場合が殆どで、美しい輝きの割には比較的気軽に楽しめる価格帯です。

19世紀は、ジュエリー文化が発展した時代であり、そのため残念なことにシトリンも偽物やイミテーションも広く出回ってしまいました。
トパーズとシトリン(黄水晶)は色味がよく似ているので悪徳な宝石商は、トパーズと偽って格下のシトリンを出してくることがあったそうです。
また、シトリントパーズなどと呼ぶ宝石商もいたため、混乱を招きました。
産出国でもあるブラジルでは、悪しき伝統を排除すべく国を挙げて “インペリアルトパーズ” として差別化したという事情もあります。同様に、シトリンと区別をする為にプレシャストパーズとも呼ばれています。
さてここからは、トパーズの最もポピュラーな代表的なカラーをご紹介します。

インペリアルトパーズ


天然のトパーズにおいて、黄金色、ピンク色、オレンジ色を混ぜ合わせたような大人の甘さを味わえる色を、インペリアルトパーズと言います。
堂々とした名前の如く、眩く光り輝く黄金色を発する由緒ある貴重な宝石です。
主な産出国はブラジルやパキスタンなど。
その殆どはブラジルのミナスジェライス州のオーロプレットという町の鉱山であり、その中でも産出される鉱山は1つしかなく、とても希少と言えるでしょう。
黄金色は権力の象徴として、王冠の飾りや宝飾品として身につけられてきました。
11月の誕生石として人気が高く、日本では16年目の結婚記念日に贈る宝石とされています。

ピンクトパーズ


トパーズの中でも、特に若い女性に人気なのがピンクトパーズです。
天文学的に高価な最上級のピンクダイヤモンドに似た色を持ちながら、若い女性にも手が届きやすい親しめるジュエリーです。
主な産地は、ミャンマー、ブラジル、パキスタン、エジプトなど…
パキスタン産のナチュラルに発色したやや紫色を帯びた可憐なピンク色の花びらを身につければ、誰の眼にもとまる美しさです。

ブルートパーズ


天然のブルートパーズは淡い薄青で、アクアマリンに似ています。
薄青のものや、無色透明なホワイトトパーズに放射線処理を施し、鮮やかなブルーにしたものが殆どです。
透明度が高くすがすがしい青空の品質をスイスブルートパーズと言い、
独特のスモークがかった味のあるブルーをロンドンブルートパーズと言います。
どちらも透明度が高く鮮やかな美しさです。
ブルートパーズも大変人気のあるトパーズです。

ミスティックトパーズ

1998年に香港で開催された宝石フェアーで初めてお披露目された新しいトパーズです。
見る角度や光の入り具合によって様々なカラーを演出します。
チラチラ、テラテラと魅了するその輝きは、万華鏡や明るい空間に浮かぶシャボン玉の光の如く変化します。
現在、多くの宝石が加工処理等により色合いを向上させておりますが、ミスティックトパーズも最高級のカラーレスのトパーズを人工処理させたものです。
人物理気相成長法(PVD)によるコーティング処理が施され、他にはないオーロラカラーを堪能することが出来るのです。

レモン哀歌

そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白くあかるい死の床で
わたしの手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした

(智恵子抄 レモン哀歌より抜粋)

高村幸太郎が死に伏した妻に捧げた詩集「智恵子抄」の中の「レモン哀歌」に
レモンの香りの表現としてトパーズが出てきます。
トパーズの香気が一瞬智恵子を蘇らせるのです。
悲しくて切ないながらも、何度読み返してみてもトパーズ色のレモンの香りに包まれ鼻先をくすぐられます。
トパーズを語る上で外せない詩集です。

必要なものとの出会いをサポートしてくれる石~トパーズ

トパーズは、東洋では “美と健康、精神を癒す” 石とされてきました。
また身に着けると、トパーズの発するビタミンCを思わせる色のパワーが身体中に染み込んでいくようで、なんだか不思議と活力が得られるように感じるとも。
比較的産出量が多く、手に入り易いお値段でもあるので、ペンダントトップや指輪なら、2ct UPの大ぶりのトパーズはいかがでしょうか?
石言葉は「 成功 ・ 希望 ・ 友情 ・ 誠実 」など。
直観の赴くままに選んだトパーズなら、勇気と正しい決断力が力になるはずです。
はっとするような黄金色のトパーズを身に着けて、大切なものとの出会いを引き寄せてみませんか?

ライター:綺羅子

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