雲一つない青空の色
緑輝く山々
滝壺にさけて散る水しぶき
満天の星空の輝き・・・
自然は、人工では作ることができない色彩や眩さに溢れており、
だからこそ誰もがその景色に感動し、癒やされ、心洗われるのではないでしょうか。
私たちが美しい宝石に巡り会えた時に、感じる気持ちとも似ている気がします。
人工では作り得ない質感とパワー。
その圧倒される輝きは、自然の美しい景色を観て感じる “ときめき” そのもののようです。
今回は自然が創造した賜物である世界観「バイカラーストーンについて」お話ししていきます。
バイカラーストーンとは
バイカラーとは山と空や、地上と陸のように、一つのピースに二つの色がトーンや明度を大きく変え、境目がはっきりと分かれていることを言います。
お洋服にも両サイドに濃い色味の生地を合わせて、細見え効果を狙ったデザインのものや、
バッグなどでも濃淡の差を浮きたたせたものをよく見かけますね。
実は宝石にも一つの石に二つ以上の色彩をもった宝石が存在し、
上記のような配色をもつレアストーンを “バイカラーストーン” と言います。
混ざっているとか・・・なんとなくとか・・・
はっきりくっきりと分かれたものなど…
まるで自然の景色が広がるかの如く、それぞれの石によって色の景色が分かれているのが特徴です。
バイカラーをもつ宝石
宝石好きなコレクターさんにはたまらないバイカラーストーン。
もしもそうでなくても、どんなものなのか一度は見てみたいと思いませんか?
それでは、ここからはバイカラーをもつ宝石についてご紹介していきます。
トルマリン
バイカラーをもつ宝石として一番有名なのが「トルマリン」。
誰もが知っているポピュラーな宝石です。
トルマリンは、ピンクやオレンジ、ブルー、グリーンなど幅広い色彩をもちます。
その中でも、二色や三色を同時にもつバイカラーは様々な色をもつトルマリンの中でも希少であると言えます。
バランスがとれ、はっきりと色が分かれるピンクとグリーンや淡いブルーが人気です。
トルマリンの結晶は長いものが多いので、細長く加工することにより、鮮やかなバイカラーが際立ちペンダントトップや個性的なリングでお楽しみいただけると思います。
トルマリンで最も愛されているのが、「ウォーターメロントルマリン」です。
その名の通り、スイカをスパッと切ったように中心がピンク色、
外側に近づくと白っぽくなり、周りがグリーンをもつ、とても個性的でかわいらしく魅力のある色彩です。
ウォーターメロントルマリンでしたら、ルースや原石で楽しむのもよいですね。
時間のたつのも忘れ、その不思議な世界観に浸ることができる魅力的なカラーストーンです。
フローライト
フローライトは、燐のような光を放つ宝石です。
和名は「蛍石」と呼ばれます。
すみれ色、ブルー、黄色、ピンク・・・等、トルマリンに次いで多くの色彩をもつカラフルな石として人気の天然石です。
しかしながら、純粋なフローライトは無色透明で水晶に似ています。
大自然が長い歳月を積み重ねて自然の色を作るのと同じように、フローライトも様々な不純物が含まれ混ざり合い多くの色彩を放つのです。
その色は淡く、優しく、そして可憐です。
そんなフローライトの中でも特に目を引くのが、はっきりと分かれる二色あるいはそれ以上の色をもつもの。
緑色や、すみれ色、青色などに色彩が分かれ、その色彩が織りなす模様は二つと存在しません。
フローライトは、貫通させたビーズ状のものがよく流通されています。
ブレスレットやネックレス、ピアスなど、お求め安い価格で取り入れることができます。
自然が織りなす色彩を是非身に着けてみてください。
アメトリン
【HTPC-29/HTPC-51/HRPC-4】
アメトリンは、紫水晶のアメシストと黄水晶のシトリンが一つの石に混ざっている色彩をもちます。
アメシストとシトリンの色が徐々に変化していくのではなく、スパッと線を引いたように紫色と黄色が存在する魅力溢れるバイカラーストーンです。
このパターンは、カラーだけでなく二つの鉱物そのものが混ざり合った珍しい例です。
あまりにも綺麗に分かれているその美しいアメトリンを見た専門家は「天然ではありえない」
と言ったほどです。
天然物は、ボリビアのアナイ鉱山でしか産出されない為、大変希少性の高いバイカラーストーンです。
今では、アメシストに熱処理を加えて人工的に作られた物が多いと言われているので、天然物に出会えたらじっくり鑑賞したいですね。
その他のバイカラーストーン
上記にあげた三点のバイカラーストーンのようにくっきりは出ませんが、二つに分かれる色彩をもつ宝石として、サファイアとタンザナイトもあげられます。
どちらもブルーの色彩で有名な宝石ですが、石に含まれる成分によって色彩が混ざります。
サファイアは赤っぽい色彩とブルー、タンザナイトはグリーンや黄色が出ると言われています。
自然の神秘が産みだす多様性の石
リングやペンダントトップは、色石の周りをメレダイヤで囲ってその石を引き立て、より輝きを添えたりしますが、一つの石に色彩が綺麗に分かれて存在するなんて、なんだかわくわくし、
美しい景色のような色彩に魅了されてしまうのではないでしょうか?
一つの色では満足できない “ちょっぴり欲張りさん” に、ぴったりのジュエリーですね。
一石だけでもアクセントになるので、シックなファッションを好む方にもオススメです。
バイカラーの配色を取り入れたネイルや、一方のカラーに合わせてお洋服の統一感を出すのもコーディネートのこなれたお洒落の楽しみ方の一つ。
山と空の稜線、陸と空の地平線のような自然の不思議な魔力が織りなす様々なバイカラーストーン。
見てもよし、身に着けてもよし、あなたを惹きつけるバイカラーストーンを探してみてくださいね。
ライター:綺羅子