前回は9月の誕生石「サファイア」についてご紹介しました。
アイオライトについて
9月の誕生石には、もう一つの青色の石、アイオライト (iolite) があります。
ギリシャ語で “すみれ色” を意味する 「ion (イオス) 」と “石” を意味する 「lithos (リトス) 」から来ていると言われ、日本名はすみれに青と書いて「菫青(きんせい)石」と言います。
すみれの花のように可憐で、キュートな宝石です。
アイオライトというのは流通上の名称で、鉱物上の正式名称は 「cordierite (コーディエライト) 」 となります。
ウォーターサファイア
アイオライトは、サファイアによく間違えられます。
「多色性」をもっており、光の入り方・見る角度やカットの仕方によって、色が変化してみえる特徴があります。
一方向から見てみると、ブルーサファイアのブルーですが、横から少し光を入れるようにライトをかざしてみると、不思議なことにブルーが消えて無色透明の水のように色が抜けて変則的に見えたりします。
まるで魔法にかかったかの如く、遊び心溢れる石なのです。
別名「ウォーターサファイア」とも呼ばれ、スリランカやインドの川底から採れるのもその名の所以のようです。
ウォーターサファイアという別名があるように、以前はそういった名で売られていたこともあるようですが、現在ではサファイアとは区別されている石なのでご安心くださいね。
バイキングに愛された石
天然のアイオライトの多色性の特性を活かし、スカンジナビアの海賊・バイキングは、航海の際に羅針盤代わりに利用していたと言われています。
太陽にかざし青色が鮮明に光る方向に舵をきっていたそうです。
この頃にコンパス代わりに使われたと思われるのがアイオライト・カルサイト・トルマリンなどの “複屈折率” という特徴をもつ石。
この特徴を活かして、太陽の位置を観測していくことで、ある程度の方角を把握していったのではないかと考えられています。
ヨーロッパ中を荒らし回ったような印象を与えるバイキングですが、実際バイキングと呼ばれる多くの人々の航海の目的は、略奪ではなく交易だったと言われています。
バイキングに大切にされてきたことから、アイオライトを人生の羅針盤に例え、幸せな方向に導いてくれるお守りとして身に着けると良いとされています。
アイオライトの魅力
サファイアが特別な記念にプレゼントしていただく宝石だとしたら、アイオライトは普段使いに存分に楽しんでいただける宝石です。
石言葉は 「道しるべ」 「徳望」 「誠実」 「穏やかな心」 など…。
航海だけでなく、人生の道を示し、迷いを払ってくれるとも言われています。
また、ヨーロッパでは娘が大人になった時に両親がアイオライトを贈る習慣があったとも…。
年頃になった時に、心から愛する誰かと出会えるように…本物の愛を見つけられるようにという願いを込めたそうです。
濃淡のすみれ色は、肌に乗せると深みを増し、様々な表情を楽しませてくれます。
チェーンや金属のパーツと組み合わせたブレスレットや、ピアス。
水晶などの天然石ビーズと組み合わせたものなど、どんなアレンジにもすみれ色は馴染み、魅力溢れるアクセサリーとなります。
自分の進むべき道に迷いがある方
進んでは見たものの少し不安を感じている方
アイオライトを身に着け、心を研ぎ澄まして自分自身に語りかけてみませんか?
ライター:綺羅子