オパールの遊色効果に、猫の目のようなシャトヤンシー効果(キャッツ・アイ)。
宝石のみせる多彩な効果のなかでも、きっとほとんどの人の心を掴む「カラーチェンジ」。
その名の通り、色が変わるという不思議な性質です。
今回は宝石の「カラーチェンジ」について。
アレキサンドライトやカラーチェンジ・サファイアなど、あなたはどれだけの「カラーチェンジ」の宝石を知っていますか?
宝石のカラーチェンジの種類。色が変わる仕組みは?
そもそも宝石がカラーチェンジするとはどういうことでしょう。
様々な要因で宝石はその色を変えますが、一般的に「カラーチェンジ」が指すのは光源によって一時的に色が変わって見える宝石を指します。
つまり、宝石の性質そのものが変化するわけではなく、光の種類によって色の見え方が変わるということなのです。
「アレキタイプ」とは。カラーチェンジの秘密は光源
たとえばアレキサンドライト。
太陽光や蛍光灯のもとでは青緑色、白熱光のもとでは赤紫色に。
これは宝石に含まれる物質が特定の色を吸収したり、発光したりする性質によるもの。
アレキサンドライトは微量のクロムを含むことで、太陽光や蛍光灯にかざすと緑色を強く反射し、白熱光やろうそくの明かりをかざすと赤色が強く反応するのです。
このように光源によってカラーチェンジする宝石は「アレキタイプ」と呼ばれます。
このアレキタイプには「カラーチェンジ・サファイア」や「カラーチェンジ・ガーネット」などの宝石も含まれます。
カラーチェンジではないけれど色を変える宝石たち
いわゆる「カラーチェンジ」とは違っていても、色を変える(もしくは変わったようにみせる)宝石があります。
そのひとつが「ハックマナイト」。
変わった性質を持ち、ある条件下で一時的に宝石の色が濃く変化するのです。
その条件とは「紫外線」。
ソーダライトの亜種であるハックマナイトは、紫外線にあてると青色や紫色といった色が鮮やかに濃く浮き出るのです。
時間が経過すると元の色に戻りますが、一定時間は濃い色味を楽しめるといった不思議な特性があります。
「カラーチェンジ」と「多色性」の違い
もうひとつ、「カラーチェンジ」と間違われやすいのが「多色性(たしきせい)」。
これは見る角度の違いにより、色が変わって見える現象を指します。
光源と同じく、吸収される色が異なることで生じる現象です。
結晶構造がポイントとなり、たとえば方向によって硬度が異なるアイオライトも多色性が顕著なことで知られています。
正面からは青色で、横からは透明というように、カット職人の技量も問われる宝石です。
アイオライトのほかには、タンザナイトやアンダリュサイトが多色性を持ちます。
アレキサンドライトタイプのカラーチェンジ宝石3選
宝石の「色」にポイントを絞るにしても、様々な楽しみ方があります。
そのなかでも王道の「カラーチェンジ」は、宝石に興味を持ったならひとつは手に入れたいものですよね。
ここではアレキサンドライトをはじめとする3つの「アレキタイプ」宝石をご紹介します。
アレキサンドライト(Alexandrite)
赤色と緑色。
クリスマスのようなこのふたつの色は、実はロシア帝国のシンボルカラー。
「アレキサンダーII世」から「アレキサンドライト」と名付けられたのです。
最初から「アレキサンドライト」ではあったのでなく、元々は「ディアファナイト」という名の宝石でした。
発見者である鉱物学者ニルス・グスタフ・ノルデンショルドが命名。
しかし、ロシア皇帝に捧げるものとして宝石の名を改名したのです
アレキサンドライトはクリソベリルの一種であり、10カラットを超える原石が産出しないことからとても希少な宝石として知られています。
カラーチェンジ・サファイア(Color Change Saphire)
9月の誕生石で有名なサファイアのなかにも、カラーチェンジをするものがあります。
青紫色から赤紫色と、太陽光や蛍光灯のもとでは何の変哲もないサファイアに見えることも。
そのほかのバリエーションとして、緑色から赤褐色へ変化するカラーチェンジ・サファイアもあるのだとか。
カラーチェンジ・ガーネット(Color Change Garnet)
一般的には緑色から赤紫色へと変化するカラーチェンジ・ガーネット。
ただし、その色のレンジは幅広く、太陽光や蛍光灯のもとではオリーブグリーンから黄色、灰色、青色で、白熱光やろうそくの明かりのもとでは赤色からピンク色、紫色に変化。
色の変化がわかりやすく、アレキサンドライトよりも比較的手に入れやすい価格です。
不思議なカラーチェンジを日常の装いに取り入れて
アレキサンドライトやカラーチェンジ・サファイア、カラーチェンジ・ガーネットは十分な硬度があり、日常使いを楽しめる宝石です。
身に着けることでより魅力が増すのが「カラーチェンジ」宝石なので、まずは自分の目で楽しめるリングから取り入れてみるのはいかがでしょう。
ライター:ニシナエリカ